「どういたしまして」をうちなーぐちで
Posted on 金 03 12月 2010 in Uchinaaguchi
この記事では、「ありがとう」などのお礼に対する返事である「どういたしまして」という表現を、うちなーぐち(沖縄語)でどのように言うのかについて記します。本やネット上で、うちなーぐちでのこの表現を見つけにくかったという筆者自身の経験がこの記事を書いたモチベーションです。
1 お礼の表現概要
「どういたしまして」の表現を見る前に、まずは、お礼の表現から見ていきましょう。
お礼の表現は、主に、2つの名詞
「ニフェー(御拝・三拝)」
「カフーシ・クヮフーシ(果報し)」
のどちらかを使ったタイプの表現があり、それぞれの後ろに「〜デービル(〜でございます)、〜ヤイビーン(〜です)、〜ヤン(〜である、〜だ)」という存在動詞をつけることで、お礼の文章を作ることができます。
例文
【沖】ニフェーデービル。
【日】 ありがとうございます。
丁寧な表現で、最もよく使われる表現です。年上・目上の人に対しても使えます。
【沖】ニフェーデービタン。
【日】 ありがとうございました。
「デービル」の過去形を使った表現です。
【沖】ニフェーヤイビーン。
【日】ありがとう。
「ニフェーデービル」と意味は同じだが、「ヤイビーン(です)」よりも「デービル(でございます)」の方が丁寧なため、こちらの方が少しカジュアルなニュアンスがあるようです。
【沖】ニフェードー。
【日】ありがとう(ね)。
こちらは、日本語の語尾「よ」にあたる「ドー」をつけただけの表現です。親しみはあるが、カジュアルな言い方で、年下・目下や親しい友人に対してしか使えません。
【沖】カフーシ。/カフーシヤタンドー。/カフーシヤタサー。
【日】ありがとう(ね)。
上の表現と同様、カジュアルな表現です。「カフーシ」は「クヮフーシ」と発音されることもあります。
以上、お礼の表現を見てきました。
では、これらのお礼の言葉に対して、一体どのように答えればよいのでしょうか?
2 お礼に対する返事の表現
お礼の返事の表現には、「リージ(礼儀)」や「ニンジケー(念遣い=気遣い)」という名詞を使って「お気遣いいりません」という意味の表現と、「何でもありませんよ」という意味の表現があります。
【沖】リージェー ユタサイビーン。
【日】お礼はいいですよ。
【沖】リージェー ユタササー。
【日】お礼はいいよ。
リージェー = リージ + ヤ = 礼儀は。ユタサイビーン と シマビーン は、この場合、それぞれの文で交換可能です。
【沖】ニンジケー シミソーランティン シマビーンドー。
【日】お気遣いなさらなくても大丈夫ですよ。
【沖】ニンジケー サンティン シムンドー。
【日】気遣いしなくても大丈夫だよ。
【沖】ヌーン ネーヤビランサー。
【日】何でもありませんよ。
【沖】ウヌアタエー チケーネーヤビラン。
【日】その程度は大した事ありません。